溶接工場での作業安全を考えるうえで、換気の重要性について考える機会が増えています。2021年4月1日から特定化学物質障害予防規則の改正が実施され、一層、換気対策が重視されています。これは溶接工場の経営者の方々にとって大変重要な情報です。本記事では、この換気規則改正について詳しく解説し、その重要性について説明します。
2021年特定化学物質障害予防規則改正の概要とは
2021年4月1日から施行された特定化学物質障害予防規則の改正は、溶接工場にとって重要な義務が課されました。これは、工場の換気システムに関わる全6つの主要な項目に分けられます。
- 全体換気装置による換気の実施または同等以上の措置の取り組み
- 溶接ヒュームの濃度測定(マンガン濃度が0.05mg/㎥以上等)
- 換気装置の風量増加
- 再度の溶接ヒュームの濃度測定
- 有効な呼吸用保護具の選択と従業員への使用指導
- 1年ごとに1回フィットテストの実施(保護具が適切に装着されているかを確認)
これらの要点について、令和5年4月までに対策を講じることが求められています。
換気装置とは?具体的な改正内容の詳細
全体換気装置とは、作業場内の有害物質を清浄な空気と混合、希釈して外部へ排出する装置のことを指します。換気装置は、有害物質の濃度を安全な範囲まで下げることが求められます。また、全体換気装置と同等以上の換気措置とは、具体的には局所排気装置とプッシュプル換気装置を指します。
他にも、作業場の清掃、作業主任者の選任、特殊健康診断の実施、安全衛生教育、廃棄物の処理、休憩
室や洗浄設備の設置、適切な呼吸保護具の提供、飲食の禁止など、さまざまな対策が義務化されています。これら全てが、溶接作業場における労働者の健康と安全を保護するための重要な要素です。
特定化学物質障害予防規則改正の背景
特定化学物質障害予防規則の改正がなぜ行われたのか、その背景について解説します。金属アーク溶接などの作業によって溶接ヒュームが発生します。これは健康に影響を及ぼす可能性があるため、防止対策が必要です。以前は粉塵としての防止対策が主でしたが、改正により特定化学物質としての対策も求められるようになりました。特定化学物質とは、労働安全衛生法により指定された、体内に取り込むと健康を害する可能性がある化学物質のことを指します。
まとめと今後の対策
溶接工場の経営者や従業員にとって、この特定化学物質障害予防規則の改正は大きな影響を及ぼします。換気装置の適切な利用、溶接ヒュームの濃度管理、保護具の選択と使用方法、そしてフィットテストなど、日々の業務において新たな要点を押さえて対策を講じる必要があります。改正の詳細や背景を理解し、適切な対策を立てることで、労働者の健康と安全を保護し、持続可能な作業環境を実現することが可能となります。
なお、詳細な改正内容や対策については、各工場の状況により異なる場合もありますので、専門家への相談をおすすめします。本記事で解説した内容についてさらに詳しく知りたい方や、ご自身の工場での具体的な対策について相談したい方は、お気軽にお問い合わせください。