溶接ヒューム対策のことが1冊でわかるハンドブックを期間限定で無料プレゼントしております。 ヒューム対策は、期間的に余裕があるように見えて、しっかり対策しようとすると実は全く時間がありません。 一刻も早く、ヒューム対策として必要な事項を理解いただくためにもぜひご活用ください。
労働安全衛生法施行令の一部を改正する特化則が令和3年4月1日に公布及び告示され、
令和4年4月1日から施行されました。
これにより、アーク溶接を行った際に発生する溶接ヒュームへの適切な対処を行うことが
義務付けられました。規制対象となった溶接ヒュームとは一体どのようなものか、またどのような対策を行う必
要があるか、この資料で詳しく説明します。
ヒューム対策をまだ取り組めていない方はぜひご活用ください
< 目 次 >
溶接ヒュームとは何か?
では今回の政令等の改正により対策が義務付けられた溶接ヒュームはどれか、この項目で解説致します。
アーク溶接ヒュームが今回の対策義務対象に
今回の政令等の改正により対策が義務付けられているのは、アーク溶接により発生する溶接
ヒュームです。
アーク溶接とは、アーク放電という気体中に生じる放電現象を加工したい金属に当てる溶接方
法を指します。アーク放電とは、電極に電流を流した状態で接触し引き離す際に起こる放電現
象であり、非常に強い光と高熱を発生させるという特徴があります。コンセントを引き抜く際
に生じるスパークが具体例として挙げられます。アーク放電により発生する熱の温度は高いと
きで2万℃にまで達し、厚い金属板でも確実に溶融させることができます。
そのため様々な金属加工の現場でアーク溶接が用いられるようになりました。
一方で、短時間で高温を引き起こせるアーク溶接は、他の溶接方法と比べ溶接ヒュームを多く
発生させやすいという特徴があります。
溶接ヒュームとは、急速に熱せられた金属が気体と化し、それらが空気中で冷却・凝集され粉
塵と化したものを指しますが、アーク溶接では短時間で温度が急上昇するため、溶接ヒューム
となる気体が多く発生しやすいのです。アーク溶接自体が以上のような特徴を持っていること
から、アーク溶接の中でも比較的ヒューム発生量が少ないとされている半自動溶接、手棒溶接、
TIG溶接等も今回のヒューム対策義務の対象とされています。
レーザー溶接・ガス溶接は対策義務対象外
その他の溶接方法であるレーザー溶接・ガス溶接も高温を発します。しかしこれらの溶接方法はアーク溶接と比較して到達する温度が低めであることと、高温に達するまで時間を要することから、溶接ヒュームが出にくいとされ、今回の政令等の改正では対策義務が課されていません。
溶接ヒュームが人体に与える影響
アーク溶接時に発生する溶接ヒュームは、人体にどのような悪影響を及ぼすのでしょうか。人体への悪影響は主に2点あるとされており、1点目は塵(じん)肺と呼ばれる、溶接ヒュームが肺まで到達した後に起こす変化による影響で、2点目が溶接ヒュームが発がん性物質であるマンガンを含んでいることによる影響があるとされています。この項では、2点ある人体への影響のうち塵(じん)肺による影響を見ていきます。
じん肺(塵肺)による人体への影響
じん肺とは
じん肺は、溶接ヒュームを人間が吸い込み、肺に到達し、肺の中で変化を起こすことで発生するものです。 先ほども説明しましたが、溶接ヒュームとは、アーク溶接により急速に熱せられた金属が気体と化し、それらが空気中で冷却・凝集され粉塵と化したものを指します。粉塵の大きさはとても小さく、一般的には0.5~5.0ミクロンの大きさとも言われています。 比較的粒子の大きなものは鼻孔や気管支等に付着することにより「痰」となって体外に排出されますが、溶接ヒュームのように微細な粉塵は肺の奥深くの肺胞にまで入り込み、沈着してしまいます。長時間溶接ヒュームを吸い続けることにより一定量の溶接ヒュームが肺胞の奥底に溜まるようになり、やがて繊維増殖を起こすようになります。この繊維増殖を起こした溶接ヒュームが肺の正常な活動に支障をきたすようになる状態がじん肺となります。
じん肺が健康に及ぼす影響
じん肺による健康への影響は、短時間で多量に吸い込んで起こるものと長時間吸い続けることにより起こるものがあります。
1.短時間で多量に吸入した場合の影響 ヒュームには多種多様の有害物質を含んでおり、短時間で多量に吸入すると吸入から数時間後に悪寒が始まり,高熱(金属熱)を引き起こす可能性があります。これらの症状は、通常ですと24~48時間程度で一旦は快復しますが、ばく露(溶接ヒュームの吸入)を繰返すと、さらに様々な健康被害を及ぼす事態へと進んでいきます。
2.長時間あるいは長期間吸い続けることによる健康被害 ヒュームの吸込みがあっても少量ずつであれば、初期の頃はほとんどじん肺の自覚症状がありません。しかし長い間高濃度のヒュームを吸い続けると、咳がでたり、息切れが起きたりするようになります。さらに進むと、一層息切れがひどくなり、歩いただけでも息が苦しく、動悸が起こる程の状態にまで発展してしまいます。 また、息切れや動悸といった症状の他にも、様々な合併症を引き起こすとされています。 法律では、以下の6つをじん肺と密接な関係がある合併症と定めています(じん肺法施行規則 第1条)
- ①肺結核:結核菌が原因で起こされる感染症
- ②結核性胸膜炎:結核菌によって引き起こされる胸膜の炎症
- ③続発性気管支炎:じん肺とは別で引き起こされる気管支炎
- ④続発性気管支拡張症:気管支の内腔が拡張する症状
- ⑤続発性気胸:肺と胸郭との間に空気が入り,肺が押しつぶされた状態
- ⑥原発性肺がん:転移の元となるがん
つまり、溶接ヒューム対策は法令順守以外にも従業員を守るために必須の取り組みであることが言えます。
事業者側の義務
粉塵を伴う作業を行う事業所では、粉じん障害防止規則という政令により、労働者が健康を害さないような最大限の対策を講じることが求められています。現在では第9次粉じん障害防止総合対策(平成30年度~平成34年度)が推進されており、各事業所では以下のような取り組みを行うように求めています。ここでは、代表的なもののみ紹介致します。
1.岩石・鉱物の研磨作業、又はばり取り作業と、鉱物等の破砕作業にかかる粉じん障害防止対策 手持式または可搬式動力工具による岩石・鉱物の研磨作業又はばり取り作業を行う作業者に、有効な呼吸用保護具を着用させることを求めています。
2.ずい道等建設工事における粉じん障害防止対策 「ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドライン」に基づき、換気装置による換気の実施や、換気の実施等の効果を確認するための、ガイドラインで定めた方式による粉じん濃度測定の実施及びその結果に応じた換気装置の風量の増加その他必要な措置の実施を行うことが求められています。
3.呼吸用保護具の使用の徹底と適正な使用の推進 労働者に対し、防じんマスクなどの使用の必要性について教育を行う 「保護具着用管理責任者」を選任し、以下の対策を講じることを求めています
- ● 呼吸用保護具の選択、使用、顔面への密着性の確認等に関する指導
- ● 呼吸用保護具の保守管理及び廃棄
- ● 呼吸用保護具のフィルタの交換の基準を定め、フィルタの交換を記録する台帳を整備すること等フィルタ交換の管理
(出典:厚生労働省 第9次 粉じん障害防止総合対策について)
じん肺法に関して
また、じん肺に関しては、じん肺法が制定されています。この法律の第一条には以下のように記載されています。 この法律は、じん肺に関し、適正な予防及び健康管理その他必要な措置を講ずることにより、労働者の健康の保持その他福祉の増進に寄与することを目的とする。 出典:厚生労働省 じん肺法 第一条より引用 また、健康管理を行なう作業、じん肺健康診断、健康管理のための措置、粉じん作業に従事する労働者に対する教育(じん肺に関する予防及び健康管理のために必要な教育)に取り組むように記載されています。
溶接ヒュームから労働者を守るため特化則改正が決定
令和2年に入り、溶接ヒュームをはじめとした粉塵被害から労働者を守るための諸規則が改正されました。労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(令和2年政令第148号。以下、改正政令)、特定化学物質障害予防規則及び作業環境測定法施行規則の一部を改正する省令(令和2年厚生労働省令第89号。以下「改正省令」)作業環境評価基準等の一部を改正する告示(令和2年厚生労働省告示第192号。)の3つが制定されました。 以下では、主に改正政令と改正省令で定められた事項について解説致します。
改正政令の概要
改正政令では、主に以下の2点が制定されました。 「(1)特定化学物質の追加 特定化学物質(第2類物質)に、「溶接ヒューム」を追加すると ともに、「マンガン及びその化合物(塩基性酸化マンガンを除く。)」 の「(塩基性酸化マンガンを除く。)」を削除したこと。この結果、 溶接ヒューム及び塩基性酸化マンガンに係る作業又は業務について、 新たに作業主任者の選任(法第14条関係)、作業環境測定の実施(法 第65条関係。塩基性酸化マンガンに係る業務に限る。)及び有害な 業務に現に従事する労働者に対する健康診断の実施(法第66条第2 項前段関係)が必要となること。 (2)溶接ヒュームに係る作業環境測定の適用除外 特定化学物質(第2類物質)に適用される規制のうち、作業環境 測定を行うべき作業場については、溶接ヒュームに係る作業を行う 屋内作業場を除いたこと。」 (出典:厚生労働省 労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令等の施行等について)
つまり、以下の2点を対策する必要があります。
①政令により令和3年4月1日以降、アークを熱源とする溶接、溶断、ガウジングを行う際は以下の3点を実施
●作業環境測定の適用除外(屋内作業場) ●じん肺対策のための健康診断を定期的に実施 の3点を実施する必要があります。
②政令により令和3年4月1日以降、溶接ヒュームが発がん性物質であるマンガンを含むという理由から、特化則でも規制。
そのため、アークを熱源とする溶接、溶断、ガウジングを行う際はこれまで粉塵則で定められていた
●呼吸用保護具の装着
●全体換気装置による全体換気
●清掃
●ヒューム濃度測定
などを行う必要があります。
改正省令の概要
改正省令では、主に溶接ヒュームへのばく露防止のために取り組むべき事項について制定しております。
ア.金属をアーク溶接する作業、アークを用いて金属を溶断し、又はガウジング作業その他の溶接ヒュームを製造又は取扱作業。上記屋内作業場については、全体換気装置による換気の実施又はこれと同等以上の措置を講じることを義務付け。この場合において、事業者は、第五条の規定にかかわらず、金属アーク溶接等作業において発生するガス、蒸気若しくは粉じんの発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル換気型装置を設けることを要しない。
イ 金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場において、新たな金属アーク溶接等作業の方法を採用しようとするとき、又は当該作業の方法を変更しようとするときは、あらかじめ、当該金属アーク溶接等作業に従事する労働者の身体に装着する試料採取機器等を用いて行う測定により、当該作業場について、空気中の溶接ヒュームの濃度を測定することを義務付けたこと。
ウ イによる空気中の溶接ヒュームの濃度の測定の結果に応じて、換気装置の風量の増加その他必要な措置を講じることを義務付けたこと。
エ ウの措置を講じたときは、その効果を確認するため、イの作業場について、イの測定により、空気中の溶接ヒュームの濃度を測定することを義務付けたこと。
オ 金属アーク溶接等作業に労働者を従事させるときは、当該労働者に有効な呼吸用保護具を使用させることを義務付けたこと。
カ 金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場において当該金属アーク溶接等作業に労働者を従事させるときは、当該作業場についてのイ及びエによる空気中の溶接ヒュームの濃度の測定の結果に応じて、当該労働者に有効な呼吸用保護具を使用させることを義務付けたこと。
キ カの呼吸用保護具(面体を有するものに限る。)を使用させるときは、1年以内ごとに1回、定期に、カの呼吸用保護具が適切に装着されていることを確認し、その結果を3年間保存することを義務付けたこと。
ク イ又はエによる測定を行ったときは、その都度、必要な事項を記録し、これを当該測定に係る金属アーク溶接等作業を行わなくなった日から起算して3年を経過する日まで保存することを義務付けたこと。
ケ 金属アーク溶接等作業に労働者を従事させるときは、当該作業を行う屋内作業場の床等を、水洗等によって容易に掃除できる構造のものとし、水洗等粉じんの飛散しない方法によって、毎日1回以上掃除することを義務付けたこと。
コ 事業者からオ又はカの呼吸用保護具の使用を命じられたときは、これを使用することを労働者に義務付けたこと。
(出典:厚生労働省 労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令等の施行等について)
改正省令のポイント
ア.に関して ①先ほどの改正政令でも触れましたが、屋内作業場でアークを熱源とする溶接、溶断、ガウジングを行う際は全体換気装置による換気又はそれと同等以上の措置が必要になります。 ②「全体換気と同等以上の措置」には、局所排気装置及びプッシュプル型換気装置の義務付けがありません。 これは、ばく露実態調査の結果から、溶接不良を防ぐために抑制濃度の0.05mg/m3を満足する局所排気装置等の制御風速が実現できないと見込まれ、局排のみ対策では現実的でないとしているためです。
イ.に関して 先ほどの改正政令でも触れた、溶接ヒューム濃度の測定が必要になる場合があります。新たな金属アーク溶接等の作業方法を採用、又は現状行っている作業の方法を変更しようとするときは、溶接ヒューム濃度の測定装置を労働者に取付け、安全に作業を行える環境になっているか確認する義務が生じます。
ウ.に関して イの空気中の溶接ヒューム濃度測定結果に応じて、換気装置の風量の増加やその他必要な措置を講じることを義務付けられています。 ※その他必要な措置とは、溶接方法、母材若しくは溶接材料等の変更による溶接ヒューム発生量の低減、集じん装置による集じん又は移動式送風機による送風の実施が含まれています。
ケ.水洗等とは? 「水洗等」の「等」には、超高性能(HEPA)フィルター付きの真空掃除機による清掃が含まれますが、当該真空掃除機を用いる際には、粉じんの再飛散に注意する必要があります。
特化則改正後特に注目するポイントは?
ここまで令和2年度4月に打ち出された改正特化則を見てきました。ここでは、変更・追加された項目の中で、特に注目するポイントを確認します。
①マンガンに対する規制が強化
溶接ヒュームがじん肺を引き起こすことに関しては今回の特化則改正前から対策が為されていましたが、今回の特化則改正ではそれに加えてマンガンの濃度、種類に関しても対策を講じる必要が生じました。 マンガン濃度の許容基準を厳しくしていることが分かります。また、濃度だけでなく、計測対象となるマンガンの種類も全種類に拡大していることからも、発がん物質であるマンガンの対策を徹底していることが分かります。
<評価基準関係> 管理濃度(溶接ヒューム濃度の測定結果を評価するための基準となる濃度)に係る「物の種類」について、「マンガン及びその化合物(塩基性酸化マンガンを除く。)」を「マンガン及びその化合物」に改めるとともに、その管理濃度を「マンガンとして0.05mg/m3」に引き下げたこと。
<特化則の規定に基づく厚生労働省が定める性能関係> 局所排気装置の具備すべき性能に係る「物の種類」について、「マンガン及びその化合物(塩基性酸化マンガンを除く。)」を「マンガン及びその化合物」に改めるとともに、その抑制濃度を「マンガンとして0.05mg/m3」に引き下げたこと。」
(出典:厚生労働省 労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令等の施行等について)
②溶接ヒュームの中でもアーク溶接ヒュームに対する対策が必要
溶接ヒュームを生じる溶接方法は様々ありますが、短時間で高温に達するアーク溶接ヒュームの対策が必須となります。同じアーク溶接でも、溶接方法を変える際には空気中の溶接ヒュームの濃度測定が必須になるので、注意が必要です。
③使用する呼吸用保護具が有効なものか定期的な確認が必要
呼吸用保護具の着用を溶接等の作業の際に義務付けているのは特化則改正前から変わりませんが、呼吸用保護具が正しく機能しているかを定期的に確認することも必須になりました。
溶接ヒューム対策として必要な準備
雰囲気の測定をする
溶接作業者の粉じんばく露の実態を正確に把握するには、場の測定を主体とする従来の作業環境測定法では不十分なためまずは部屋全体ではなく、個人暴露測定をします。その結果が0.05㎎/m3以下であれば基準をクリアということになります。
個人暴露測定には以下のようなサンプラーを用意する必要があります。
対策をする
個人暴露測定の結果、基準を超えている場合は、以下の対策を講じる必要があります。
①溶接方法や母材、溶接材料などの変更による溶接ヒュームの低減 ②集じん装置による集じん ③移動式翔風機による送風の実施
換気対策と床の洗浄が重要
上記の対策の中でも、宙に浮いている金属の蒸気を取り除くためにする換気と、その金属の蒸気が床で冷えて固着したものを取り除くためにする床の洗浄が非常に重要になります。
集じん機
宙に浮く金属の蒸気を換気によって除去するために利用する機械のことを集じん機と言います。この集じん機にも様々な種類が存在しており、いくつかピックアップしたものをご紹介します。ヒューム対策に適した集じん機の特徴として、フィルターに難燃性の素材が使われているかどうかがあります。なぜなら、粉塵爆発を防ぐためです。爆発性粉体(マグネシウム、アルミ軽合金、アルミニウム、エポシキ樹脂、鉄紛、チタンなど)と呼ばれるものが高濃度になり、酸素・着火エネルギーの3条件が重なると大爆発が起こる危険があります。
以下に代表的な機器の例を示します
- ①アマノ 溶接作業用集塵機 FCN
- ②スイングアーム付溶接作業用集塵機 FD-10
- ③マツモト機械 ヒュームゼロ
- ④スイデン ヒューム用集塵機
ヒューム吸引トーチ
①トーキン 自動トーチ
集塵機のほかに、ヒューム吸引トーチを使って対策する方法もあります。こちらは装置が小型であり設備費・運転費が小さいことなどメリットもありますが、片手がふさがり、溶接作業に支障が出るというデメリットがあるためオススメしません。しかし、ロボットの自動トーチの場合であれば選択肢に挙がることもあります。
以下に代表的な機器の例を示します
送風機
送風機は送風によって、ヒュームを押し出します。局所排気との組み合わせが必要になります。また溶接は、風があるところではできないため、溶接作業に影響のないように気流シミュレーションをした後、大きさと風量で適切な送風機を選ぶ必要があります。
以下に代表的な機器の例を示します。
- ① フルタ
- ②ジェイアンドエス
- ③スイデン
- ④鎌倉製作所
呼吸用保護機
呼吸用保護期には、使い捨てタイプ(マスク全体がろ過材からなり、使用限度時間が来たら交換するタイプ)とカートリッジ交換型タイプ(面体とろ過材が分離していて、ろ過材を交換するタイプ)との大きく2つののタイプが存在します。それぞれの特徴に合わせて使い分けをします。現在は、コロナウイルスが流行していることもあり、世界的に品薄になっています。
以下に代表的な企業を示しますが、医療関係で使われており信頼性が高く、現在は品薄状態となっております。
- ①スリーエム
- ②重松製作所
- ③興研工業
出典:厚生労働省
自動床面洗浄機あるいはHEPA付掃除機
その他の対策方法として、自動床面洗浄機やHEPA付掃除機の導入があります。これらは床に溜まっているヒュームを除去するための掃除機・洗浄機です。
換気装置について
全体換気・プッシュプル、局所排気のうちどれが適切かは、ケースバイケースになります。専門家によって調査・分析を依頼して意見を仰ぎましょう。
溶接ヒュームの濃度測定
溶接ヒューム濃度測定の重要性と手順
屋内で金属アーク溶接作業を行う作業場では、労働者の健康を保護するため、2022年3月31日までに溶接ヒュームの濃度測定が必要です。この測定は専門的な知識と経験を持つ第1種作業環境測定士や作業環境測定機関によって行われます。
個人サンプリングについて
個人サンプリングは、金属アーク溶接作業に従事する労働者に小型の吸引ポンプとサンプラーを装着し、呼吸域付近(肩口付近)で空気サンプルを採取する方法です。この測定は2名以上の労働者に対して実施し、1名のみの場合は最低2日間測定する必要があります。測定時間は溶接作業全体をカバーし、準備、溶接、研磨、後片付けも含まれます。
溶接ヒューム濃度の測定方法
溶接作業の種類ごとに溶接ヒューム濃度を測定します。被覆アーク溶接、MAG溶接、MIG溶接、TIG溶接など、複数の溶接作業がある場合は、それぞれについて測定を行います。
測定後の対応
マンガン濃度が0.05mg/m³未満: 労働者に適切な呼吸用保護具を使用させます。面体を有する保護具を使用する場合は、年1回のフィットテストが必要です。
マンガン濃度が0.05mg/m³以上: 換気装置の風量を増加させる、溶接方法や材料の変更、移動式送風機による送風などの措置を講じ、再測定を行います。
溶接ヒューム濃度測定の必要性
新たな溶接方法の採用や変更時にも測定が必要です。
厚生労働省は溶接ヒュームを特定化学物質に指定し、労働安全衛生法施行令と特定化学物質障害予防規則が改正されました。
その他のヒューム対策
その他のヒューム対策としては、以下の内容が挙げられます。
- ・安全衛生教育
- ・ぼろ等の処理
- ・不浸透性の床の設置
- ・立ち入り禁止措置
- ・運搬貯蔵時の容器等の使用等
- ・休憩室の設置
- ・洗浄設備の設置
- ・喫煙または飲食の禁止
- ・有効な呼吸用保護具の備え付け等
ヒューム対策で必要な作業環境管理
作業環境管理として、以下の内容を徹底する必要があります。
- ①有害性の低い物質に変更する
- ②飛散しにくい形にする
- ③設備を密閉化する
- ④作業者と粉塵を取り除く(局所排気装置など)
- ⑤粉塵を換気で薄める(全体換気)
- 基本的に作業場には作業員以外立ち入り禁止の措置をする必要があります。また、休憩室を用意し作業場から完全に独立した部屋を用意します。作業場での喫煙・飲食の禁止、入室の際の有効な呼吸器保護具着用を徹底します。
ヒューム対策は、いつから実施するべきか
下図のように示されており、実施義務が2021年4月とされており、一見して時間的余裕があるように見えますが、実際に対策を進めようとすると構想策定・予算取り・稟議・施工・体制づくり・資格者教育などを考えると全く余裕がないことがわかります。 上記いずれかでも対策が不足しているという企業は、今すぐに対応を進める必要があります。
出典:厚生労働省
すぐに検討するべきこと
ここでは、いの一番に検討しなければならない事項について説明します。
内容についての熟知
特に、着目すべきは、令和3年4月1日から実施義務のある以下の3点です。 1.現に、継続して金属アーク溶接等を行っている屋内作業場は、個人サンプラーを用いて溶接ヒュームの濃度を測定する必要があります。 2.全体換気の実施 3.特殊健康診断の実施
出典:厚生労働省
ヒューム対策をしないことによって生じるリスクを正しく理解しましょう。ヒュームは人体へ多大な影響を与え、対策をしないことで課せられる罰則もあります。 必要な対策内容について熟知をして、予算取りをして必要な予算を把握しましょう。全体換気や床工事などの施工にはある程度の工期と費用が掛かります。
暴露測定の実施
「そこまで溶接していないのに、まさかうちが!?」という意識を捨てて、まずは測定することが大事です。第1種作業環境測定士、あるいは作業環境測定機関による専門家の測定で意見を仰ぎましょう。
専任者の選定
特化則作業主任者の選定と教育をします。溶接現場の場合、従来では作業主任者は不要な場合が多くなっています。しかし、専任者を選定することで現場に責任感が生まれ対策の精度が上がります。
マスクを買いそろえる
DS-2のマスクを買い揃えましょう。ヒュームは人体に影響を与えますので、必ず認証マークの付いたマスクを使用しましょう。
対策は1年では終わらない
ヒューム対策はすぐに完了するものではありません。工期・予算がかかる上にすべて徹底的に対策できるようになるには数年単位でかかることを想定しておきましょう。
大洋サンソがヒューム対策でお手伝いできること
福岡工場リフォーム保全センター.COMを運営する株式会社大洋サンソは、ガスや溶接を主に扱う溶材商社が母体です。
このため、溶接と密接にかかわるヒューム対策に関しては、幅広いノウハウを有しております。
①暴露測定サービス
第一種作業環境測定士・作業環境測定機関が測定してくれるサービスがあります。 また大洋サンソの強みとしては、普段からヒューム関係に精通した機関やメーカーとのつながりがあります。そのため優先的に手配することが可能となります。
②気流の解析サービス
気流の解析サービスもあります。コロナ対策・環境改善にもつなげることができます。
③具体案の策定サービス
どんな対策が必要になるか、予算と工機がどれくらいかかるのか検討します。
④フィルター清掃サービス
フィルターが古いままだと集塵能力に影響が発生します。買い替えるのではなく、フィルター洗浄をすることもできますので集塵機の状態をみて最適な提案をいたします。
⑤DS-2マスクの調達
大洋サンソでDS-2マスクを調達し、優先的に提供可能です。
⑥内装工事
これらのサービス以外にも休憩所、洗浄装置設置、分煙対応、パーテーション設置などの内装に関する工事にも対応可能です。作業現場のトータルコーディネートをさせていただきます。
ヒューム対策を含めた施工はすべて大洋サンソにお任せください
溶接を伴う現場の対策と工事は、大洋サンソにお任せ下さい! 配管・ダクト・集塵機・コンプレッサーの工事・点検・メンテナンスの対応だけでなく ヒューム対策に必要な商品の提案から施工まで一貫して行います!
気になる方は是非お気軽にお問合せ下さい!
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